こんにちは、運行管理者の姫鮎です!
今回は「タクシードライバーの1日の流れ」についてまとめてみました。

タクシードライバーって、実際にはどんな一日を過ごしてるのかな?
タクシーの仕事に興味を持ったとき、誰もが気になるうちの一つではないでしょうか?
外から見ると、タクシードライバーは「車を運転して、お客様を目的地までお送りする仕事」というイメージが強いかもしれません。
それも、大切な仕事の一つです。
でも、実際のタクシードライバーの仕事は、運転だけではありません。
出勤してから営業を開始するまでの準備、営業中の安全確認、帰庫してからの売り上げ処理や車内清掃、洗車まで、さまざまな業務があります。
私は、タクシーの配車室で運行管理業務をしています。
現場からはもう離れてしまっていますが、配車室から日々、ドライバーさんたちががんばる姿を見ています。
配車室の運行管理者として「タクシー会社の中にいる側」の目線から
タクシードライバーの1日
を、できるだけわかりやすくご紹介します。
「タクシードライバーの仕事に興味があるけれど、私にもできるかな?」
そんな女性にも、仕事のイメージを持っていただければと思います。
タクシードライバーの1日
タクシードライバーの1日は「出勤前の準備」から始まっています。
タクシー会社に出勤したら、すぐにお客様を乗せて走り出すわけではありません。
ますは、その日の営業を安全に行うための準備から始まります。
一般的には、
が基本の流れになります。
タクシー会社によって細やかな手順や呼び方は異なりますが、
安全に営業を始めるために必要な確認を行なってから出庫する、というのは法律により義務付けられています。
1、出勤・タイムカードを押す
まずは会社に出勤。
タイムカードなどで出勤時間を記録し、その日の勤務がスタート。
タクシードライバーは、お客様を乗せて走っている姿を見ることが多いため「ずっと一人で仕事をしている」というイメージを持っている方が多いと思います。
ですが実際には営業所に戻れば、他のドライバーや配車室のスタッフ、重役の方々や事務職員など、多くの人々が働いています。
私は配車室勤務ですので、私が出勤してきた時間に、同じ時間帯に出勤してきたドライバーさんたちや職場の方々と必ず顔を合わせます。
「おはようございます」
と出勤した時に見かけたドライバーさんや職員さんたちに挨拶を交わして、その日の仕事が始まります。
何気ないことですが、特別な会話をしなくても、
日々の挨拶を交わすだけのコミュニケーションだけでも、ともすれば孤立しがちなタクシー会社の業務で適切な連携をとるためにとても大切なものだと感じています。
2、朝礼・申し送り
日々の業務を適切に行うためには、
ドライバーさんたちへの申し送りも大切な業務です。
社内の連絡事項、顧客の予約状況、当日の天候・渋滞情報・イベント情報など。
「点呼」や社員の出勤状況なども、この時に確認する会社もあります。
3、点呼を受ける
「点呼」とは、その日のドライバーの運行に必要な確認をとる業務です。
これは次に説明する「車両点検」とセットで、
ドライバーの体調や酒気帯びの有無など安全運行に関わる重要な事項で必ず確認することは法律で義務付けられています。
特にアルコールチェックは厳しく確認します。
また、その日の体調や免許証所持の有無なども必ず確認します。
運行管理者にとって「点呼」は、単なる確認の作業ではありません。
「今日も安全に仕事をして、無事に帰ってきてもらう」ための大切な確認の時間です。

「点呼」は道路運送法で義務付けられています
旅客自動車運送事業運輸規則(第48条)により、乗務の前後に運行管理者または補助者がドライバーの健康状態や酒気帯び(アルコールチェッカーの使用)、前日の日常点検の実施結果などを対面で確認することが義務付けられています。
4、車両点検
次に行うのが「車両点検」です。
タクシーは1日の大半を車で営業する仕事です。
営業を始める前後に、車両に異常が無いか確認することも法律で義務付けられています。
点検する項目は、会社や車両によって異なりますが、車両の状態や装備など、安全に営業できる状態かを確認します。
ドライバーにとっては毎日のことなので、ついつい「いつもの作業」と思ってしまうこともあるかもしれません。
ですが、運行管理者の立場からすると、この出庫前の確認こそ、安全な営業を支える大切な時間です。

「車両点検」は道路運送車両法で義務付けられています
道路運送車両法(第47条の2)により、1日1回、運行前に目視などでブレーキやタイヤ、灯火類などを点検することが義務付けられています。
5、出庫
車両点検が終了したら、いよいよ営業開始です。
車庫からタクシーが出て行きます。
配車室からドライバーさんたちが出庫して街へ走り出して行くのを見送るとき、
「今日も安全運転で行ってらっしゃい!がんばって!」
いつもそんな気持ちで送り出しています。
6、営業
ここからは、それぞれのドライバーが営業を行います。
タクシーの営業方法には、タクシー乗り場などで「客待ち」をしてお客様に乗車していただく場合もあれば、配車室からの無線や配車アプリなどから「配車」を受けて、お客様のところへ向かう場合もあります。
タクシー乗り場などで「客待ち」
タクシーの営業では、あらかじめ設置されている指定のタクシー乗り場で「客待ち」をして、そこに来てくださったお客様に乗車していただくことがあります。
駅、病院、商業施設、ホテルなど、地域によってさまざまな場所にタクシー乗り場があります。
タクシー乗り場からお客様が乗車されたら、目的地まで安全にお送りすることになります。
待機する↔︎お客様を乗車
タクシー業務の基本は、ひたすらこの繰り返しです。
「今日はどこのタクシー乗り場で待機したら、お客様がいっぱい乗るかな」
「この時間帯だと、あのタクシー乗り場は混んでそうだから待機は難しいかも」
「あのタクシー乗り場だったら待機しやすそう」
「あの待機場所ならお客様が乗車してくれるかな」
など、ドライバーさんはさまざまなことを考えながら営業しています。
余談ですが。。。
タクシードライバーにとって最も大切なことは、
待機場所に1度入ったら、乗車してくれるか、もしくは配車で呼ばれるまで絶対に移動しないこと!
です。
これは、私が新人ドライバーだった頃、疲れから帯状疱疹になってしまった私に、待機だけで高額な売上を上げていた先輩ドライバーさんたちから教わった「黄金の鉄則」です。
「30分や1時間くらい待機してお客が乗らんからって、待機場所からすぐ離れて街中をやたら走り回るんはあんたがまだまだ素人な証拠や。
そんなことしたって、ムダに体力消耗させて自分が疲れるだけやで。
2時間は絶対待っとけ。
それ以上の待機はただのサボりや。
それから配車がきたらワンメーターしか乗らんお客やってわかっとっても絶対に断るな。
降ろした後で、流しで良いお客さんを乗せる可能性もあるから。」
と何度も先輩ドライバーさんたちから言われました。
待つのも仕事のうち
稼ぎたければひたすら待つのみ!
ということを叩き込まれました。
配車を受けてお客様をお迎えに行く
タクシーの仕事には、配車室からの配車を受けてお客様をお迎えに行く仕事もあります。
主に配車室または配車専門のセンター、配車アプリなどから配車依頼が入ります。
タクシー会社が自社で配車室を設置していて、独自の配車システムを持っているタクシー会社は、配車アプリが多様化した近年では貴重な存在となりつつあります。
ドライバーは、その情報をもとに、お客様のところへ向かいます。
配車室とドライバーは、それぞれ別の場所で仕事をしているように見えますが、実際には連携しながら一つの営業を支えています。
お客様がアプリを利用して、直接タクシーの配車依頼を行えるようになった現代では、配車室とドライバーの間の関係も希薄になりがちです。
基本的に配車室では、お客様の乗車場所や目的地など、必要な情報をお客様から電話で確認し、ドライバーへ配車を行います。
お客様からの
「タクシーをお願いします」
という1本の電話の裏側には、配車室とドライバーの連携があります。
これは、タクシー会社の仕事を知るうえで、ぜひ知っていただきたい部分です。
道端で呼び止められたお客様を乗車させる「流し」
走行している時に、お客様が「空車」表記のタクシーを道端で呼び止められることもあります。
これを業界用語で「流し(ながし)」といいます。
この「流し」でお客様を乗車させることも、タクシーならではの営業方法です。
ただ、お客様の中には、
「えっ!?こんなところで?」とか
「今、迎車中だから乗せられないんだけど。。。」
という場面もあり、道端で呼び止められているからといって、必ずしもすべてのお客様にご乗車していただくことが難しい場合もあります。
道端で空車のタクシーを「流し」で拾って乗車する場合には、ドライバーもお客様も交通ルールを守って安全な場所で乗車するように心がけましょう。
営業中も「安全」が最優先
ドライバーが営業に出たあとも、運行管理者の仕事は続いています。
配車をしたら、はい終わり、ではありません。
配車室では、営業中の車両の動きや配車状況などを常に確認しながら、必要に応じてドライバーと連絡を取ります。
タクシーは、お客様の命を預かって走る仕事です。
売上はもちろん大事ですが、運行管理者の立場からすると、何よりも大切なのは
安全に営業を終えて帰庫してもらう
ことです。
ドライバーが無事に帰ってきてくれる。
それが1番大切なことだと思っています。
7、営業終了・帰庫
営業が終わったら、ドライバーは会社に戻ってきます。
これを「帰庫(きこ)」といいます。
帰庫したら、乗務後の点呼、車両点検を行います。
出庫するときは元気に送り出しますが、帰庫してきた車を見ると、運行管理者としては正直少しホッとします。
特に長時間の勤務を終えて帰ってきたドライバーを見ると、
「今日もお疲れ様でした。がんばったね!」
という気持ちになります。
8、営業日報を書く
帰庫したら、その日の営業内容を整理します。
その一つが営業日報の記入です。
その日の営業について必要な事項を記録します。
営業日報の記載は、その日のうちに必ず処理するのが原則です。
会社によって、日報の形式や処理方法は異なりますので、詳細は省きますが、基本は営業を終えたあとに必要な事務処理を行います。
タクシードライバーというと「運転する仕事」というイメージがありますが、実際にはこうした事務作業も仕事の一部です。
9、その日の売上を納金する
営業が終われば、その日の売上を会社へ納金します。
これもタクシードライバーの重要な仕事で、その日の売上はその日のうちに必ず納金することが原則です。
1日の営業が終わったからといって、そのまま帰宅できるわけではありません。
必要な精算や納金を済ませて、ようやく1日の仕事が終わりに近づきます。
10、車両点検・清掃・洗車
最後に行うのが、車両点検や清掃、洗車です。
タクシーは毎日さまざまなお客様が利用します。
そのため、次のお客様にも気持ち良く利用していただけるよう、車内を確認して清掃、洗車します。
たまに、
「こっちは必死で走って疲れてるんだから、車の洗車くらい配車室の人がやってよ!」
というドライバーがいます。
私もタクシードライバーを始める以前から、病気がちでかなりひどい腰痛持ちでしたが、自分で使用したタクシーの点検、掃除、洗車、手入れは必ず自分で行なっていました。
当たり前のことです。
ずっとタクシーを走らせていて疲れているのもわかります。
どうしても清掃できないくらい体調が悪い時もありますから、その場合は仕方がないと思います。
ジャンボタクシーなどの大きい車両も一人で洗車するのが難しい場合もあります。
ですが、自分の売上を上げてお金を稼がせてくれる大切な「相棒」とも言えるタクシーを大切に扱えない、掃除や洗車すら自分でできないドライバーなんて言語道断です。
プロとしての自覚に欠けた残念なドライバーだな、と思います。
そういう残念なドライバーはさておき、清掃、洗車もタクシードライバーにとって大切な業務の一つです。
忘れ物がないか確認することも大切です。
タクシーでは、思いがけない忘れ物が見つかることもあります。
お客様にとっては、大切な持ち物かもしれません。
そのため、車内の最終確認も非常に重要な仕事です。
11、すべて終わったら退勤
日報、売上の処理、車内点検、清掃、洗車など、必要な業務が終わったら退勤します。
こうして見ると、タクシードライバーの1日は、
1、出勤
2、朝礼
3、点呼
4、車両点検
5、出庫
6、営業(待機、配車、流しなど)
7、帰庫
8、営業日報の記載
9、納金
10、車両点検、清掃、洗車
11、退勤
という流れになります。
会社によって細やかな手順や呼び方は違いますが、基本的にはこのような流れになります。
運行管理者から見た「タクシードライバー」という仕事
私は配車室でドライバーさんたちの仕事を見て関わっています。
ドライバーさんたちは、お客様を乗せている間だけ仕事をしているわけではありません。
出勤して車両点検をして、点呼を受け、安全を確認してから出庫する。
営業中はお客様を安全に目的地までお送りし、配車依頼があれば指定された場所までお迎えに行く。
帰庫したあとも、日報の記載や売上の処理、車両点検や清掃、洗車を行う。
こうして考えると、タクシードライバーという仕事は単に「車の運転をするだけの仕事」ではないことがわかります。
安全運転はもちろんですが、接客、的確な判断力、体調管理、時間管理、事務処理など、さまざまな能力が必要とされる仕事です。
女性でもタクシードライバーになれる?
「タクシードライバーは男性の仕事」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
でも、実際には女性ドライバーも活躍している仕事です。
私自身、配車室からドライバーさんを見ていて感じるのは、ドライバーに必要なのは「男性らしさ」ではなく、「安全に仕事をする責任感」と「お客様に対する思いやり」だということです。
運転が好きな方はもちろん、
- 人と接することが好き
- 一人で集中して仕事をするのが好き
- 自分のペースで働きたい
- 車を運転することが苦にならない
- 接客の仕事に興味がある
という方にも、タクシードライバーという仕事は選択肢の一つになると思います。
タクシーの仕事には大変な部分もあります。
でも、実際の仕事内容を知らないまま
「タクシードライバーは大変そう」
「女性には無理そう」
と決めつけてしまうのは、とてももったいない気がします。
配車室からドライバーを見ているからこそ伝えたいこと
タクシー会社は、ドライバーだけで仕事が成り立っているわけではありません。
ドライバー、配車室、事務所、整備などさまざまな職種の人たちが関わりながら、1台のタクシーを動かしています。
その中でも、ドライバーさんが毎日安全に出庫し、そして無事に帰庫してくれることは、運行管理者にとって何よりも大切なことです。
毎日のように繰り返される出庫と帰庫。
タクシー会社にとっては、当たり前の日常風景ですが、その裏側には、ドライバーさん自身の努力と、会社のさまざまなスタッフによる支えがあります。
私は配車室から、そんなドライバーさんたちの仕事を毎日見ています。
だからこそ、これからタクシードライバーを目指す方には、表から見える「運転する仕事」だけではなく、その1日の仕事全体を知ったうえで、この仕事を考えてほしいと思っています。
まとめ
今回は、配車室で働く運行管理者の目線から、タクシードライバーの1日の流れをご紹介しました。
タクシードライバーの仕事は、
1、出勤
2、点呼、車両点検
3、出庫
4、営業
5、帰庫
6、日報記載、納金
7、車両点検、清掃、洗車
8、退勤
という流れで、1日が終わります。
タクシーの仕事に興味がある方にとって、少しでも実際の仕事のイメージを持っていただけたらうれしいです。
そして、この記事を読んで、
「タクシードライバーって思っていたよりいろんな仕事があるんだな」
「女性でもチャレンジできるかもしれない」
と思っていただけたなら、運行管理者としてこれほどうれしいことはありません。
これからもこのブログでは、タクシー会社の配車室で働く私だからこそお伝えできる、タクシーの仕事のリアルを、できるだけわかりやすく発信していきたいと思います。
どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
記事をお読みいただき、ありがとうございました。

あらゆる偉業の出発点は、目的を明確にすることから始まる
by クレメント・ストーン(アメリカの実業家)


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